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2016年台風10号”十勝?上川豪雨”(8月30日)

台風10号により、北海道でも記録的な大雨となりました。

台風10号による総雨量(28日18時~31日18時)

*画面にマウスをもっていくと主な地点の降水量が重なります。単位はミリです。

気象庁のアメダスの雨量計のデータを参考にして彩色しました。特に雨量が多かった日高山脈周辺には、気象庁の雨量計がほとんどありません。そこで十勝川?空知川?沙流川流域については、国土交通省の雨量データを参考にして作画しています。72時間の雨量が500ミリを超えたところもあり、北海道としては、記録的な大雨となりました。日高山脈は、台風の中心から約300キロ離れていますが、台風が通った岩手よりも多くの雨が降ったことになります。これは、台風が近づく前から湿った東風が日高山脈に吹き付けて雨を降らせ、台風が北海道の南を通過中には、さらに湿った南東の風が吹き付け、台風が通り過ぎたあとも、引き続き南南東からの湿った空気が流れ込んだことによります。結果的に日高山脈の東部を中心に雨量が多くなりました。(大きな画像はこちら) 
(雨量データ:気象庁および国土交通省 標高値:国土地理院250mメッシュ標高 カシミール3Dで作画)

気象レーダー動画(2016年8月29日9時~30日9時)

台風の接近前から日高山脈東部で雨が降っています。
台風本体が近づくと雨脚がつよまり、台風が通り過ぎても、
山地の東側では、雨が降り続いていることがわかります。
(緯線経線間隔は北緯41度で調整。画像は登内道彦氏提供)

 

南富良野町の被害(2016年8月31日)

南富良野町(幾寅)では、空知川の堤防が決壊し、市街地が浸水被害がでました。

国土地理院斜め写真(南側から)

国土地理院斜め写真(北側から)

国土地理院が浸水区域を作画したのがこちら(8月31日) 少し水が引いてからの解析のようです。

報道写真や個人投稿ツイッターなどを総合すると、松井川と空知川の間は、ほぼ冠水したものと思われます。

(株)パスコによる空中写真(南富良野町の写真を参照)

空知川上流の雨量と水位(南富良野町)

空知川最上流部には、国土交通省が設置した雨量計があります。台風10号による雨量は、南富良野町串内で515ミリ、南富良野町狩勝で512ミリに達しました(累積期間は、8月28日時~8月31日18時の72時間)。棒グラフには串内の雨量を示しました。24時間雨量では440ミリに達しています。串内では1998年以降のデータがありますが、これまでの1位は、2003年8月10日3時までの180ミリだったので、これまでの記録の2倍以上の大雨となりました。ちなみに、1か月雨量の記録は、2010年8月の345ミリでしたので、これも上回ったことになります。たった24時間で、なんと1か月の記録を塗り替えてしまったわけです。台風の接近前から雨が降り出し、雨の降り方は次第に強くなっていきました。南富良野町幾寅の水位データには欠測がありますが、30日16時に既往最高水位を超えています。31日の早朝に雨が止んでから空知川が氾濫したようです。

上川と十勝の雨量予想

雨量計
設置者
雨量観測
地点
GSMガイダンス
30日6時~31日6時
実況アメダス降水量
30日6時~31日6時
旭川地方気象台?帯広測候所
(5時44分?5時46分発表)
30日6時~31日6時予想雨量
気象庁 旭川(上川) 12ミリ 15.5ミリ 上川の
最も多いところで
120ミリ
気象庁 白金(上川) 123ミリ 110.5ミリ
気象庁 富良野(上川) 19ミリ 13.0ミリ
気象庁 幾寅(上川) 91ミリ 157.5ミリ
国交省 狩勝(上川) - 410.0ミリ
国交省 串内(上川) - 365.0ミリ
気象庁 新得(十勝) 526ミリ 151.0ミリ 十勝の
最も多いところで
250ミリ
気象庁 ぬかびら
温泉郷(十勝)
312ミリ 216.0ミリ
気象庁 芽室(十勝) 303ミリ 95.5ミリ 
気象庁 帯広(十勝) 134ミリ 81.0ミリ
国交省 戸蔦別(十勝) - 404.0ミリ
気象庁 上札内(十勝) 461ミリ 182.0ミリ
国交省 札内川ダム(十勝) - 288.0ミリ
GSMガイダンスはコンピューターの計算値で、予測誤差があります。台風の進路がちょっと変わったりするだけで暖湿流の傾向は変わりますし、降水は複雑な地形を受けます。そのまま鵜呑みにできるほど単純な数字ではありません。北海道内の降水ガイダンスの予測値で最も多かったのが新得で、24時間で500ミリ超という信じられない数値でした。実際はその3分の1で、かなり過大であったわけです。その、新得町の西隣が南富良野町です。空知川の最上流部(狩勝、串内)で356~410ミリの想像を絶する大雨となりました。そういう意味では、最も大雨となるエリアをコンピュータ予測(ガイダンス)がある程度、表現できていたことになります。上札内の461ミリという予測値も同じ日高山脈の戸蔦別で404ミリ降っていることを考えれば、こちらも、ある程度は、大雨のエリアを表現できていたと考えられます。残念なのは日高山脈の予測値が乏しいことです。気象庁アメダス観測点が少ないことに起因しますが、今回の大雨被害を考えると、山脈の雨量観測値を予測に上手に取り込む必要があろうかと思います。

 

24時間降水量の予想を地形鳥瞰図を背景として表現したものです。白数字は150ミリ以上、メッシュの赤彩色が200ミリ以上です。対象時間が、前掲の表とは3時間ほどずれています。30日朝の初期値で、翌31日にかけての大雨エリアが表現されています。特に日高山脈周辺で記録的な大雨になることが示されています。(データ協力:藤富郷氏)

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