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【都市化による温度上昇】

気象庁が、都市化による温度上昇を算出したものです。
2009年から2017年にかけての9年間について、
まずは、コンピューターで8月の毎日の気温を
実際の観測値に合うように再現しました。
つぎに、地表面状態や排熱量を都市化する前の状態に
設定して再計算しました。
二つの結果を比較することで、
温度上昇のうち都市化の部分を地図化したものです。

都市化の影響が最も強く出ているのは、
中野区?練馬区?戸田市?さいたま市あたりです。
横浜など東京湾岸は、海の気候緩和作用の恩恵もあって、
温度上昇はいくぶん抑えられているようにも見えます。

地図にマウスを重ねると人口集中地区(2015年国勢調査)が表示されます。
大局的にみれば、人口の集中している地域で、
温度上昇が顕著となっているようです。

【ヒートアイランドの原因と抑制効果】*絵は「いらすとや」より

【人工排熱】

人間が社会活動を営むと、
かならず熱がでます。

オフィスや工場は熱源となります。
各家庭もそうです。
夏季のエアコン室外機からは、
熱風が吹きだします。
お風呂や台所からも熱ができます。

飲食店の換気扇からは
熱風がでています。
自動車のボンネットは高温となり、
まわりに熱を放出します。

人間社会の構造や
ライフスタイルが同じならば、
人口が多いほどたくさんの
熱がでます。
  【人工構造物の蓄熱?放熱】

コンクリートやアスファルトなど
人工的な建造物は、
日中は太陽の日差しをうけて、
熱を溜め込む性質があります。

アスファルトの道路などは、
夏季の炎天下で
40℃を超えることもあります。

暑くなった人工構造物は、
まわりに熱を放出します。
太陽の光を浴びている
昼間はもちろん。夜も。

加えて、都市は、
建物の凹凸が激しいので、
風が弱まりやすく、
熱がこもりやすいといえます。
【温度上昇の抑制効果】

森林や草原、
湖があったりすると、
日中の温度上昇が
抑制されます。

草地の土壌には
水分が蓄えられています。
また、木々の葉面からも
蒸発散があります。
水分が蒸発する時に、
熱を奪うことで、
気温を下げる効果があります。

また、開けたところでは、
適度な風も吹きますし、
熱が拡散しやすい環境です。


【行政のヒートアイランド対策】

街中の気温が郊外よりも高いことは古くから知られていました。
都市の内部では人間活動により大量の熱が発せられます。
また、コンクリートやアスファルトなどの人工地盤、建物の壁面などは、
日射を吸収し空気を直接暖めます。

一方で、都市の内部に公園があると、周囲よりも気温が低くなります。
地表面が土だと適度な水分を含み、地表面の温度上昇を抑制します。
また、森林は植物葉面からの蒸発散があり、これも温度上昇を抑制します。

東京都のヒートアイランド対策

環境省のヒートアイランド対策

都市公園の効果


下図は2009年度地理学特講Vで行った気象観測の結果です。
観測結果の作図が定期試験問題でした。

温度差は小さいものの、駒沢公園内が低温で周辺部が高温になっています。
土地利用との関係を考えてみよう。
野球場の近くの低温域は、2006年度以降の観測で、毎年確認されています。

地理院地図空中写真

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