トンガの火山噴火(2021年1月15日)

※本資料には、作成者の推定が多く含まれています。作成者は専門家ではありません。

南太平洋のトンガで大規模な火山噴火がありました。
噴火があったのは、フンガトンガ?フンガハアパイ島の火山のようです。

火山島(海底火山)は、トンガの首都ヌクアロファの北北西70km付近にあります。
70kmという距離は、東京駅を基点に考えると、
神奈川県では小田原あたり、埼玉県では深谷あたりです。
気象衛星ひまわり8号が噴火の様子をとらえました。
(気象衛星画像は気象庁WEBより。時刻は日本時刻で記載。ピンクの線はプレート境界。)
13時00分の画像には噴煙は認められません。
13時10分の画像にポツンとみえた噴煙がその後拡大していることがわかります。
(米国地質調査所によると13時14分45秒に火山噴火
13時30分頃から、トンガの首都ヌクアロファも噴煙の下に入りました。
薄暗くなって降灰があったのかもしれません。

トンガ王国は、英連邦加盟国です。人口は10万4494人です。
36の有人島と133の無人島からなります。
火山噴火があったフンガトンガ?フンガハアパイ島は、無人島のようです。

以前は二つの島に分かれていたようで、
その中間で海底火山が活動をはじめ、二つの島がつながったようです。
そして、2022年1月15日に大噴火を起こしました。
なお、どの場所で噴火したのかはよくわかりません。

トンガの島々の東側には「トンガ海溝」があります。
太平洋プレートとオーストラリアプレートの狭まる境界にあたり、
太平洋プレートがオーストラリアプレートの下にもぐりこんでいます。
日本同様に地震が多発し、火山が多い「変動帯」に位置しています。
(新しい「地理総合」の教科書では「造山帯」ではなく「変動帯」という用語が使われています)

13時50分から衝撃波が広がっていく様子がみられます。
衝撃波により瞬間的に気圧が高まり、その後気圧が低下した際に雲が生じたものと思われます。

衝撃波の速度を考えてみます。
雲画像から衝撃波が約800km離れたフィジーを通ったのは、14時20分頃とみられます。
衝撃波の発生時刻が、最初の噴火が起こった①13時15分頃とすれば、時速738kmです。

噴煙が広がり始めてから、少し遅れて大きな爆発的な噴火が起こったとして、
その時刻を②13時25分とすれば、時速872kmとなります。

③13時35分とすれば、時速1067kmになります。

情報量が少ないのでなんともいえませんが、
噴煙「雲」にやや遅れて衝撃波「雲」がはじまったようにも見えます。

④トンガの対蹠点についても衝撃波の様子が可視化されています。
 欧州の気象衛星(METEOSAT-11)の画像を処理したもののようです。
 (WeatherModelsツイッター、トンガ噴火の衝撃波
 日本時刻では1月16日7時頃、協定世界時(UTC)では22時頃に、
 対蹠点に衝撃波が到達したものとみられます。

 トンガでの衝撃波の発生時刻を
 ①日本時刻13時15分とすると、17時間45分後に対蹠点到達。
 ②日本時刻13時25分とすると、17時間35分後に対蹠点到達。
 ③日本時刻13時35分とすると、17時間25分後に対蹠点到達。

となります。
 
地球の外周の距離は約4万キロで、対蹠点までの距離はその半分となります。
衝撃波の伝播速度を概算してみると、時速1127~1150km位となりそうです。
※赤道半周距離なら20,004km、子午線半周距離なら20,037km


トンガから日本(関東)まで7800km位あります。
時速1100km位で衝撃波が伝わったとすると、日本(関東)まで7時間05分かかる計算です。
つまり、衝撃波の到達時刻は20時20分~40分頃と大まかに推算できます。

日本で衝撃波とみられる気圧変化が観測されたのは、
20時~21時頃でしたので大まかには合っています。

参考地図トンガを中心とした正距方位図法地図
(1/19作成、等距離円は手作業で重ねたのでズレがあるかも)
 

津波警報?注意報

(気象庁発表?16日6時段階?気象庁WEBを加工)
気象庁は当初「若干の海面変動はあっても被害はない」としていましたが、

奄美大島小湊港の津波の高さが1.0m以上となったため、
16日0時16分になって、太平洋側を中心に「津波警報」「津波注意報」が発表されました。
未明の発表で、高齢者は就寝中だったとおもわれます。
奄美大島では車が渋滞していたとの報道もありました。
将来の南海トラフ巨大地震に備えて、
避難上の問題点をしっかり整理しておく必要があるでしょう。

奄美?三陸の潮位

(気象庁WEBより潮位観測情報)
潮位偏差が1m以上となり、津波警報が発表された奄美(鹿児島)と久慈(岩手)の潮位のグラフです。
潮位偏差の振幅の大きい15日22時~16日2時に注目すると、
奄美では22波(周期10分55秒)、久慈では18波(周期13分20秒)が確認できます。
久慈の方が周期が長い理由は良くわかりません。地形の影響によるものでしょうか...。

奄美では振幅が小さくなったため、津波警報は16日7時30分に解除されました。
三陸(久慈)の津波警報は11時21分に解除されました。

津波到達予想時刻

(気象庁報道発表資料より)
気象庁が公開した津波到達時間図です。これは海底を震源とする巨大地震を想定して作られたものです。
津波が太平洋を進む速さは非常に早く、ジェット機と同じくらいです。
計算では、関東までは10時間半なので15日23時半頃に津波が来襲すると想定されるわけです。
ところが、それより2時間半も早い15日21時頃から各地で海面変動が確認されています。
つまり、海底地震による通常の津波とは違うものだと疑われたわけです。

衝撃波とみられる気圧変動

気象庁報道資料)

日本各地の気象台で
1.5~2.0hPa程度の
気圧の変動が観測されました。

気圧がピークとなった時刻は、
父島では19時39分頃、
釧路(北海道)では、
20時51分頃で、
72分程度の時間のズレが
ありました。

トンガ~釧路間の距離が8184km
トンガ~父島間の距離が7002km
両者の差1182kmです。
この距離を72分で移動するとして、
速度を計算すると、
時速1013kmとなります。
秒速では281m位です。

気象会社の
ウェザーニューズが
気圧変化量を
動画で地図化して
公開しています。
こちら

アメリカ(こちら)やドイツ(こちら
でも気圧の変動が確認されています。


地図化すると
現象がわかりやすくなる
好例として紹介します。

国内の気圧データから衝撃波の速度を考える

 
日本国内のについて、衝撃波の通過時刻(一時的に気圧の高くなった時刻)を調べました。
横軸は19時00分からの分数になっています。縦軸はトンガからの距離です。
日本国内の主な地点について、ほぼ一直線に並びます。
なお、緑の近似線は、13時15分(-345分)に爆発的噴火が起こったものとしています。
近似線の傾きが18.106(km/分)なので、これを60倍すると時速1086kmが得られます。秒速では300m位です。
そして、赤の近似線は、13時35分(-325分)に爆発的噴火が起こったものとしています。
近似線の傾きが18.948(km/分)なので、これを60倍すると時速が1136kmにもなります。秒速では316m位です。

なお、この計算は、速度一定で、衝撃波が拡散したという前提になっています。

何が起こったの?

火山噴火によって衝撃波が発生し、気圧の微量変化が観測されることはこれまでもありました。
1985年の伊豆大島の噴火の時には、千葉県などで、窓ガラスがビシッビシッと音をたてたことがありました。

衝撃波が7000kmも離れた日本で海面変動を引き起こすとは、過去に観測事例がないようです。
簡単なポンチ絵を作りましたが、たぶん~だろう的な説明でしかありません。

世界各地の詳細な気圧データと潮位データなどから、定量的な分析がなされ、メカニズムが解明されるものと思います。


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