平成30年度 9月法科大学院入学式 学長式辞
このたびは、駒澤大学法科大学院ご入学、誠におめでとうございます。受験の関門を突破され、本日より皆さんは、法曹への道をめざして、新たなスタートを切ることになります。もちろん、法曹への道は、決して平坦ではなく、これから先、種々の紆余曲折が待ち受けていると思われますが、私共は、こうして本学の一員となられた皆さんが、その所期の目標を実現し得るよう、教職員の総意をあげて、支援していくつもりです。
もとより、法曹の世界をめざすには、まず、司法試験に合格し、然るべき資格を取得することが必要ですが、加えて、法曹としていかなる理想を掲げ、その理想をどのように実務の領域に反映させるのか、そして、それは多くの人から賞賛される価値を有するのか、という点についても配慮がなされねばなりません。
法曹が、依頼者の利益を最大限に主張することは当然でありましょう。とはいえ、法令や倫理に違反することは許されないこともまた、当然です。その意味で、法曹は、具体的な事件を通して、正義の在り方を模索する使命を負った専門職(profession)といえると思います。これから始まる皆さんの学びの生活は、専門的な知識やスキルの習得のみでなく、このような職業意識を醸成し、陶冶する機会でもあるのです。
さて、その職業意識を陶冶する過程で、皆さんに、自覚的に向き合っていただきたいのが、仏教系大学としての本学の歴史と伝統です。本学における皆さんの学びの生活は、国道246沿いの法科大学院校舎を中心になされ、駒沢キャンパスにあまり足を運ぶことなく経過すると推察されます。それだけに、本学の建学の理念を伝える時間や空間に触れるチャンスが限られてしまいがちです。
しかし、皆さんには、ともすればルーティン化しかねない日々の時間のやり繰りをする中で、是非、駒沢キャンパスの種月館や禅文化歴史博物館、図書館などを利用し、また恒例の仏教行事をはじめ、各種催し物にも参加して、駒澤大学での学園生活が、より充実したものになるよう期待します。
私の教学マネジメントの基本は、「学生ファースト」です。法科大学院での学びに迷いが生じ、悩みや意見があるときは、学生のために全力を投入することに迷いはありません。優秀で熱意ある教授陣が直接その任に当たるとしても、本学学長として、私自身が皆さんを励まし相談に乗る機会も設けていますので活用してください。
駒澤大学法科大学院は小規模法科大学院ですが、すでに50人以上の駒澤法曹を輩出しています。皆さんが、そのあとに続いて司法試験に合格し、駒澤大学の精神を体得した優秀な法曹になってご活躍されることを願い、私の式辞といたします。
平成30年9月22日
駒澤大学学長
長谷部 八朗