変貌する商社の仕事と役割―現代マネジメントⅠ―

駒澤大学経営学部では、ビジネスの最前線で活躍されている方々から、業界の動向や働き方を直接学べる授業「現代マネジメントⅠ」を開講しています。

今回も、経営支援NPOクラブ様のご協力のもと、特別講義が開催されました。シリーズ恒例となっている杉田 一志 氏による経営理論の第5回は、「コトラーのマーケティング」がテーマ。フィリップ?コトラーの理論の変遷を丁寧に解説いただき、単なるマーケティング論を超えて、「思慮深い資本主義」という社会的な視点にも踏み込んだ、深みのある内容となりました。

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登壇される杉田氏


後半の業界の講義のテーマは「総合商社」。講師としてお迎えしたのは、三菱商事にて食品関連事業に長年携わってこられた菱田州男氏です。講義では、まず総合商社の基本的な機能や特長について概説した後、食品バリューチェーンを軸に、商社がどのように価値を創出しているのかをわかりやすくご説明いただきました。


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登壇される菱田氏

菱田氏が取り組んでこられたのは、加工食品の国内流通。海外勤務を経て、スーパーマーケット?ライフコーポレーションで店舗運営統括、さらにローソン関連の配送会社で社長を務め、その後は理事?食品本部長、カンロ常勤監査役、かどや製油常勤監査役などを歴任されました。多様な立場でキャリアを重ねた菱田氏は、それぞれの職場が「まったく異なる世界だった」と語ります。

総合商社の大きな魅力の一つは、世界のさまざまな現場で活躍できるという点です。その中で求められる最も重要な資質として、菱田氏はまず「どんな環境でも負けない精神力」を挙げました。変化の激しいグローバルな環境においては、タフな精神力が欠かせないといいます。

もちろん、「コミュニケーション能力」も非常に重要です。学生からは「英語とどう向き合えばよいか」という質問がありました。これに対して菱田氏は、「強風を受けるように英語を浴びると、思わず耳を塞ぎたくなる。でも大事なのは、しっかり受け止めて、わからないことはきちんと聞くことです。そして、英語が"話せる"だけでは不十分。"相手の伝えたいことを理解する"ことと、"こちらの思いをきちんと伝える"ことが本当に大切です」と、実体験に基づいたアドバイスをくださいました。

講義終了後、学生からは多くの前向きな感想が寄せられました。「自分も将来に向けて、幅広い視野と行動力を身につけていきたい」「完全に理解できない部分があっても、"分かろうとする姿勢"が大切だと感じた」など、商社のスケールの大きさや、多様な経験を通じて得られる学びへの関心が高まりました。

どうもありがとうございました。

(H.K.)